流星

日曜の明け方、関東の北の方、ビルがひとっつも建っていない平原で、
双子座流星群を捜した。
月が沈みかける午前三時半くらい。
靴下を二枚重ね、スパッツを二枚履いて防寒ズボンを更に履き重ね、
白い息を吐きながら、外に出た。


木星が明るく輝く脇に、ふたつ並ぶ星が双子座。
その方向から、四方八方に星が流れるのを、双子座流星群、と呼ぶ。


天から地平に向かって、すっ、と流れる星。
長い尾を付けて、木星からオリオンの方向に流れる星。
双子座から木星に向かって短く太く流れる星。
たくさん捜せた。
ぜんぶで11流星。


途中、月が沈むのを見た。
太陽でなく、月が沈むのを見るのは、ひさしぶりで、なぜかちょっと涙が出た。


双子座流星群がピークの頃、
俳優 ピーター・オトゥールとジャズギタリスト ジム・ホール
逝去されたことを、あとで知った。
木星を取り囲むように流れた星々は、
彼らの美しい人生をも祝福して、旅立ちを見送った、のかもしれない。


流星って、不思議。
けど、宇宙ではいつも、今も、星が流れてて、
地球の近くでたまたま見れる、というだけのことだけど。


日曜の夜中近くにも、同じ場所で木星を仰いだ。
月はまだ天辺にいて、小さく輝いてた。
木星や双子座、オリオン、他の星たちの位置も、今朝とはまったく異なってる。
地球は自転してるから、当たり前のことだけど。


あたしはじいっとしてるつもりでも、動いてるんだなぁって思ったら、
なぜか、へっちゃらじゃん、て思った。
地球は回ってて、星々は宇宙を漂い流れ、季節が巡る。
幸せをかみしめた。