三日月
憂歌団 / ザ・エン歌
名曲です。
*
ひさしぶりに空を見た。
洗濯物を採り入れてたときに、ふと明るい方に目をやったら、三日月が浮かんでた。
なぜか日記にそれを書き止めておきたくて。
濃い藍色が広がる空に、真っ白の三日月があまりに美しかったから。
*
10月中旬を過ぎてようやく冷え込んできたので、
数日前から毎日ちょっとずつ、眠るまえに衣替えの作業をしてる。
気に入ったものはボロボロになっても捨てぬ質なので、
上京してすぐに買った服も、なん着も持ってたりする。
そんなのが出てくると、お金がなかったほんとに貧乏な頃を、懐かしく想い出す。
いや、今でも貧乏なのだけど(笑。
服一着一着に想い出が籠ってて、とても簡単には捨てられるものじゃない。
働いて、稼いで、自活してからもうもの凄い年月が流れてるけど、
アンダー用に十何着も揃えた、キャミソールとかスパッツとか、ソックスとか。
気に入った服の色違いを含め、一度になん枚も買ったり。
そんな、世に言う大人買い、みたいなふうに買った服もたっくさんタンスで過ごしてる。
気に入って、初めて買った紺のキャミソール。
十何年前だろうか、色も褪せて、ちょっとほつれてるけど、大事な服。
そんな、古い服を手にとるたびに、
もろもろ、ぽろぽろ、想い出や買ったときの自分の想いが駆け巡る。
色違いで買った服とかは、あまりやっぱり着なくて、
なん年かしたら着るかもしれない、という理由で、再び仕舞い込むのは、
なんだか嫌になってきて。
すぱっと寄付するなり捨てるなり、決断したい、と思うのだけど、なかなかムツカシイ。
数年後には、ビルが見えない田舎に隠居するつもりだから、
買い物の欲も無くなって、今ある服が大切な備蓄源になる気がするのだ。
で、すり切れた服の後がまに残しておこう、だとか、屈折した理論が頭を駆け巡る。
幾つになっても、あたしはカッコワルイ。
*
そんなふうに時間を過ごしてたら、三日月に、月にひさしぶりに会った。
まぁゆっくり、やりゃあええが。
てな声を聞いた気がしたのだ。
あたしが発した声かもしれないけれど。
焦ってなんぼのもんじゃ。
ゆうっくりやりゃあええて。
時満つれば、おのずと時来たる。