十日の二十二時ぐらいから、夜が明けるまで、
電灯のない山奥で月を観てた。


土の上にマットを敷いて、横になって、
月が欠けてゆくのを飽きずに観てた。
そして、膨らんで。
まんまるの、真っ白な月が、天で輝いてるのを観てた。


翌日の十一日の夕刻、また電灯のない山で、地平線近くから昇る真っ赤な月に会った。
燃えてるような月。


夕日かとはじめ想い違って、ゆらゆらとまんまるに燃える月に魅了された。


その夜、山の麓の温泉で、月を観ながら長いこと湯に浸かった。
月光を浴びっぱなしの週末だった。


想い望む未来より、もっと崇高な未来が、思いがけなく与えられる。
そんなこともわかった週末だった。