眺望




関東の、あるお城からの眺め。
夏の終わりの写真で、雲が、空から生まれるみたいに湧き出てた。
この一時間ほどあと、雷雨になった。
そんな日。


こんな風に空を観たり、満天の星空をまえにすると、自分のちっぽけさを深く想う。
そして、元気になる。


泣きはらした目で見上げても、満面の笑みで見上げても、その想いは同じ。
不思議。


悩みを抱える友達の電話をあたしはよく受ける。
昔っから、相談の受け役。


あたしは人に相談できない。
最後は自分で決める、とわかってるから、人を煩わせるのが嫌なのだ。


その、悩み相談を聞くとき、
空の蒼や、生まれる雲の美しさ、星の瞬き、月の輝きを、あたしは心に浮かべてしまう。


 とても苦しいんだね。
 だけど、その苦しみが、貴方を強くしてくれる。
 貴方を優しくしてくれる。
 嵐が去ったあと、きっと貴方は今の苦しみに感謝するはず。


そう想いながら。


渦中じゃ、とてもそんな言葉受け入れられない。
だから、爛れた皮膚に軟膏を塗るように、
何度も何度も、薄く、ゆっくり、負担にならぬように、友達の心に囁きかける。


 生きることを決して諦めないで。
 生きるっていうのは、死ぬ生きる、だけじゃない。
 ほんとうに生きてる、って実感できるんだよ、みんな。
 そのために、生まれてきたんだから。


魔法はいつでもかけられる。
純粋な想いと願いならば。


奇跡はそこかしこに転がってる。
純粋な想いと願いを抱いてたら、いつかきっと会える。


ほんとに、そう想う。