鳩舎




Tears For Fears / Shout


わりと大きな駅の近くで、ものすごく気持ちいい情景に出会った時、
聴いてた interFM から、この曲が流れはじめた。


その駅周辺は今開発の真っ只中で、
23区内であるにも関わらず、北口一面が野っ原になってる。


そこにぽつんと建つ古いビルの屋上の上空で、
ものすごい数の鳩が、群れをなしてビルの上空を旋回してたのだ。


Tears For Fears の Shout は、それはもうその情景にぴったりで、
映画の一場面に迷い込んだような気がした。


よく見ると、古いビルの屋上には、たくさんの鳩舎があって、
二人の男性が100羽はいるだろう鳩たちの訓練をしてるみたいだった。


もっとよく見てたら。
二羽ほど、群れについていけず、旋回する時に、ぱらっと一瞬迷子になったりしてる。
羽をバタバタさせながら、慌てて群れに戻るのだけど、また時折遅れて、
急いで群れに戻る、を繰り返してた。


そんななかで、遅れをとる二羽は、なにかを学んでるような気もした。


がんばって鳩の美しい飛び方を時間をかけて会得するのか、
みんなと違うなにかを目指しはじめるのか、
はたまた、もっと違うことなのか。


道ゆく人は歩みを止めずに前を向いて歩いてた。
ふと向かいの道に目をやったら、ランドセルを背負った小学生の女の子が二人、
口をぽかんと開けて、じいっと鳩たちを見詰めてた。


道を渡って彼女たちの横を通り過ぎるとき、なんか嬉しくて、
あやうく声を掛けそうになってしまった。
いいねー、って。


また見に来よう。
鳩の空散歩。