蟋蟀

昨晩、とても早く帰れたので、
洗濯でもしようかな、と思って、ベランダの磨りガラスを開けた。


ベランダの中央には時期を過ぎて葉を枯らせはじめた茗荷(ミョウガ)の大きな鉢がある。
その大きな葉のうえに見たことのない虫が居た。


秋の虫かな、と思って、すぐwebで調べてみたら、明らかにコオロギだった。


あたしは洗濯するのをやめて、
すだれを降ろし、カーテンをひいて、コオロギがいる葉が暗くなるようにした。


反対っかわの左の窓の端から耳を澄ませたら、
りりりりっーーーりっ、りりりりっつーーーりっ…とコオロギの鳴き声が聞こえてきた。


いぢわるして、いきなり明るくしちゃおっかなーとも思ったけど、やめた。


秋の月も出ていない曇りの夜更け、
耳を澄ませて秋の音を聴いていたら、驚くほど早い時間に、あたしは眠りにつけた。