望桜

連日、明け方前に帰宅。
今宵はちょっとメドが立って、少しだけ余裕が湧いた。
けど、くたくたなので、
自転車を事務所に置いて、車を拾って。
公園の手前、コンビニのあたりで降りた。


無性にチーズが食べたくて、
コンビニで切れてるタイプのカマンベールと、生ハムの小さなサラダを買った。


コンビニの小さな袋とバッグを歩と合わせてゆらゆら降りながら、
公園の脇の道を歩いた。
今から一時間ほど前の午前四時。


車も途切れる時間。
人も、桜の季節とはいえ、酔っぱらいでさえ眠りにつく時間。
主要な街道が交わる場所だけど、道はしんとして、通り過ぎる自転車の音が響くほど。


こんなの珍しいな、と想って、ふっと深呼吸して。
空をひらしぶりに仰いだら。


濃紺に染め上げられた絹布のうえに、そおっと置かれた金色の石みたいに。


静かに月が、光ってた。


ふと目の前に桜の花が現れて、花越しに、月を望んで。


ああ、春の満月だ、と想った。
二日ほど欠けてるけれど、堪らなく美しい満月だった。


部屋に戻り、一時間ほど、TINTOとチーズなんかをぼーっと食べ呑みしつつ、
さっき観た月と桜と、春の気配を、知らず反芻してた、気がする。





先週末、ふと想ったこと。


想いと時の関係。
時間は、想いを抱いてる人自身に、その想いを染み渡らせてくれる。
想いは、時を越えて存在し、膨らみ、深まってく。


伝わる、というのはどういうことか。
届く、というのはどういうことか。


想いは、想ったその瞬間に、時を越えて、空間も、時空もなにもかも超えて、
関わるすべてのモノコトに伝わり、届いてる気がする。