俯瞰
King Crimson / Moonchild
King Crimson / Red
ぱっと聴き、テイストの違う曲をふたつ選んでみた。
天女、日向子さんが大好きだった King Crimson。
知ったときは驚いて嬉しかった。
あたしも、King Crimson の大ファンだったから。
曲や詩を作る人は、よく「降りてくる」という言葉を使われる。
実際話したことないからわからないけど、King Crimson に関しては、
「魂が沸騰した湯気が音になって聴こえてくる」気がしてならない。
*
一年に一度、天女とともに仕事で仲間になった人達との呑み会を持つ。
今宵がその日だった。
みな忙しい人ばかりだから、いつも会の時間はちょっとだけど、やっぱりいい夜だった。
彼女の悩みは、酔えないこと、だった。
幾ら呑んでも酔えないから、いつも呑みの席で、どうしたら酔えるのか、よく聞かれた。
そんなこと聞かれてもわかる訳ないので、
「酔っぱらうんだ、と決めて呑むってのどうです?」なんて切り返してた。
そうすると、決まって、「いつもそう決めて呑むんだけどねー」と笑ってた。
*
数日まえ、彼女と話したくなって、墓参りをしてた。
駅からお寺に向かう道すがら、ランドセルを背負った女の子四人に出くわした。
女の子達のちょっと先に、同じくランドセルを背負った男の子が一人歩いてた。
不意に出くわしたので、それまでのいきさつはよく知らないけど、
急に女の子達が声を合わせて、
「男子のほうが寂しがりやだもんねー」と大声で、男の子に向かって笑いながら言った。
びっくりして男の子のほうに目をやると、
「一緒に帰ってやんないぞー」って笑いながら女の子達のほうに走ってきて、
「きゃー」とか「がはは」とか、みんな一緒くたに笑いながら、
向こうの方に走ってった。
意味も、成り行きもわかんないけど、なんか堪らなく胸がきゅんとして嬉しくなった。
お寺について、お墓をごしごし磨き上げながら、
言うともなく「そっちはどうですか?」って呟いてた。
水を掛け、花を生け、手を合わしたら、彼女の満面の笑顔が見えた気がして。
「いろいろあるかもしれんけど、どうってことないよ」って、言われた気がした。
*
時は流れてて、心も、振幅を繰り返しながら、成長を続けてる。
わからなかったことがクリアに見えてきたり、
わかってたことが、いきなり全く知らないことのように想えたり。
それでも、野原に風が吹くように、海に波が立つように、山を雲海が流れるように、
意識するか否かに関わらず、心は変化を繰り返し、変わらず自分であり続けてゆく。
「どうってことないさ」って、しゃにむに突き詰めてたモノコトからちょっと離れると、
なぜか解決することが多いのは、
たぶん、自分もまわりも、そして問題をも、客観的に見れるからじゃないか、と思う。
で、問題、なんかじゃなく、問題だと思ってたこと、に気付いたりする。
歩き続けると、おもしろい。
どうしようもなくったって、生きてると、必ず素晴らしいことに出会える。
まずは、そう信じることが大事だ、って心から思う。