俯瞰


King Crimson / Moonchild



King Crimson / Red


ぱっと聴き、テイストの違う曲をふたつ選んでみた。
天女、日向子さんが大好きだった King Crimson


知ったときは驚いて嬉しかった。
あたしも、King Crimson の大ファンだったから。


曲や詩を作る人は、よく「降りてくる」という言葉を使われる。
実際話したことないからわからないけど、King Crimson に関しては、
「魂が沸騰した湯気が音になって聴こえてくる」気がしてならない。





一年に一度、天女とともに仕事で仲間になった人達との呑み会を持つ。
今宵がその日だった。
みな忙しい人ばかりだから、いつも会の時間はちょっとだけど、やっぱりいい夜だった。


彼女の悩みは、酔えないこと、だった。
幾ら呑んでも酔えないから、いつも呑みの席で、どうしたら酔えるのか、よく聞かれた。


そんなこと聞かれてもわかる訳ないので、
「酔っぱらうんだ、と決めて呑むってのどうです?」なんて切り返してた。
そうすると、決まって、「いつもそう決めて呑むんだけどねー」と笑ってた。





数日まえ、彼女と話したくなって、墓参りをしてた。


駅からお寺に向かう道すがら、ランドセルを背負った女の子四人に出くわした。
女の子達のちょっと先に、同じくランドセルを背負った男の子が一人歩いてた。


不意に出くわしたので、それまでのいきさつはよく知らないけど、
急に女の子達が声を合わせて、
「男子のほうが寂しがりやだもんねー」と大声で、男の子に向かって笑いながら言った。


びっくりして男の子のほうに目をやると、
「一緒に帰ってやんないぞー」って笑いながら女の子達のほうに走ってきて、
「きゃー」とか「がはは」とか、みんな一緒くたに笑いながら、
向こうの方に走ってった。


意味も、成り行きもわかんないけど、なんか堪らなく胸がきゅんとして嬉しくなった。


お寺について、お墓をごしごし磨き上げながら、
言うともなく「そっちはどうですか?」って呟いてた。
水を掛け、花を生け、手を合わしたら、彼女の満面の笑顔が見えた気がして。


「いろいろあるかもしれんけど、どうってことないよ」って、言われた気がした。





時は流れてて、心も、振幅を繰り返しながら、成長を続けてる。
わからなかったことがクリアに見えてきたり、
わかってたことが、いきなり全く知らないことのように想えたり。


それでも、野原に風が吹くように、海に波が立つように、山を雲海が流れるように、
意識するか否かに関わらず、心は変化を繰り返し、変わらず自分であり続けてゆく。


「どうってことないさ」って、しゃにむに突き詰めてたモノコトからちょっと離れると、
なぜか解決することが多いのは、
たぶん、自分もまわりも、そして問題をも、客観的に見れるからじゃないか、と思う。


で、問題、なんかじゃなく、問題だと思ってたこと、に気付いたりする。


歩き続けると、おもしろい。
どうしようもなくったって、生きてると、必ず素晴らしいことに出会える。
まずは、そう信じることが大事だ、って心から思う。