By The Way




振幅を繰り返してる。
ぐにぐにと波打ちながら、上昇したり、下降したりする。


イキモノには心がある。
脳を持っていないイキモノにも、心はある、と思う。


魚クンが一緒に暮らしてるのは、やっぱり大好きな魚たちで、
ごはんをあげる時間が遅かったりすると、ぴゅーっと水を掛けてきたりするのだそう。


彼は、魚クンは、あの清々しい目で語ってた。


 もちろん、魚にも心はあります。


会話をして美しく育つ鉢植えも、
散歩するごとに声を掛け、幹を撫でた大樹も、もちろん心を持ってる。


人が暮らさなくなった家は朽ちる。
大した手入れをしてない人が住んでたとしても、家を捨てると、その家は朽ちてく。
家も、心を持つのだ。


イキモノでなくとも、心を持つようになる、気がする。
電化製品も。
ぬいぐるみも人形も、服や着物も、アパートの小さな部屋も。
存在するものは、向き合って共存することで、心が生まれるのかもしれない。


昔、先輩に言われたことがある。


 なんだか無性に寂しくなったらさ、好きなものをいっぱい集めてみるといいよ。


愛おしいモノたちに囲まれてると、知らずに愛が溢れ出す。
愛し方を、想い出せる。
だからかな、と、今では思える。


ところで。


もうそろそろとてつもなく暑かった夏が、じわじわと、秋に近づいてるらしい。
法師ゼミは、今年も、ほんのちょっとしか歌えないみたい。
過ぎると夏が愛おしい。
きっとこれは、人の、いや、あたしの勝手なわがまま。


四季はどの季節も美しい。
愛おしい。
幾度も巡るなかでその美しさを心から満喫できるよう、心豊かに生きていたい。