MOON




満月の日。
とてもひさしぶりに旧友がメイルをくれた。
月がきれいだ、と。


その翌日。
これまたもっと古い旧友と
満月をバックに素晴らしい花火を見た。


あたしの故郷は花火がとても盛んな土地で。
隅田川の花火がかわいく思えるほど、
体の芯に届く轟と眼光が疲れるほどの大輪を空に描く。


なんども花火を見上げてきたけれど、
満月をバックに花火を見るのは初めてだった。


ゆっくりと
とても大切なことの根底が
大きな島が何世紀ぶりに移動するかのように動いてる。


あたしはその島に生きているからあまり大事件にはならないけれど
たぶん傍から見ると今世紀レベルの大事件かもしれない。


心のレベルのコトだから
わからない人には、どう説明しても、わからない。
わかってしまう人は、どう隠しても、わかる。


ひたすらに自分を信じて突き進むと
気付けばなん年も経ってしまう。
その間に起きた出来事が、灯台のように、呼吸する速度であたしを照らす。


その光の点を丁寧に繋いでゆくと、あたしの過去が見えてくる。
今のあたしの、過去。
時を経ると、その過去は、また変化する。


自分を厳しく見詰めることは、とても大切。
だけど、自分には優しくしてあげて。
ひたむきに信じてあげて。
そうして、ゆっくりでも歩いてゆくと、未来に会える。