Owner Of A Lonely Heart




一時間ほどまえに帰宅。
東の空に、木星が信じられないほど大きく、美しく輝いてた。


急になんか聴きたくなった。
Yes/Owner Of A Lonely Heart


天文学者が言った言葉も、この曲の音とともに想い出した。


 あたしたち天文学者は、一生、叶わない片思いをしてるようなものです。


叶わないとわかっていても探求をやめられない。
これは、もう恋だな、って、聞いたとき思った。


数学者も、物理学者も、科学者も、考古学者も、
天文学ほど叶わない度は高くないけれど、
想いを受け止めてもらえないかもしれない、と思いつつ、探し求め続けてる。


学者でなくても、あたしたちはみんな、生きとし生けるものはみな、
どこかに手を伸ばしてるのだそう。
これは、ある著名な脳の研究家が言ってた。


どんな微かな願いであっても、脳が求めているものがあれば、
それは、心が求めるよりも強く、生きる力になるのです、と。


つまり、心よりも先に、脳が、想いを抱くのだ、と。


求めなくなると、手を伸ばさなくなると、イキモノは枯れてゆくのだそう。


脳が心よりも先に想いを抱く、というロジカルは、あたしにはまだ理解できない。
けど、脳=本能と言い替えたとしたら、なんか、わかる。


知らずに想い巡らすとき。
考えるより先に行動してしまってるとき。
たぶん、それは、本能が、脳が、あたしの存在を生かすために必要な欲求なのだと思う。


生きていることは、奇跡。
蒼い地球の上から、遠く離れた木星の輝きを見て、想いを巡らせ、時を経て朝を迎える。
あたりまえに過ごす時間が、ほんとは奇跡なんだ。