星の塔

昨晩から朝に掛けて、東北道を走った。


西の空には金色の満月。
とけそうな灼熱の黄金色の月。


東の空には。
木星と金星が大地と垂直に、縦に並んで光ってた。
大地にとても近い場所で、まるで塔の灯りみたいに。
間違えてしまったほど、最初。


遣る瀬ない想いには、行き場がなくて。
言葉なんかじゃとても伝えきれなくて。
時に、行動だって、確固たる結果だって、歴史だって、力を失うこともある。


なにも見えぬ霧立つ闇を歩いても、
そんな景色のなかに居た自分を想うと、明けぬ夜がないことを思い出せる。


日本海の暗い水平線の彼方。
小鳥が瞬くほどの小さな船の灯りが見えた。
闇に目が慣れ、じいっと水平線を凝視してはじめて浮かんできた瞬きの灯り。
そうやって浮かび来る未来もある。


黄金色の満月と、輝く木星と金星の、星の塔。


なにも掴めていない今この時が、きっと懐かしい時間になるのだと、
なんの理由もなく、はっきりとわかる。