細雪


一週間ほどまえ、昨年逝った友人の命日に、その友人に捧げるライヴがあった。


なにがあっても駆けつける予定でいたのに、
仕事の急展開で、どうにも動けない事態となり、あえなく欠席した。


せめて、と、昔、誕生日に贈ったことのある白百合の花束を買った。
花屋に「贈り物なんです」と告げて、
白百合の白と、金魚草の黄色と、緑で、花束を作ってもらったのだ。


亡き父の手作り祭壇が部屋にあるのだけど、
その前に、その大きな花束を花瓶に生け、飾ってる。


カサブランカが毎日ひとつずつ花開いて、香しい匂いをあたしに嗅がせる。
友人が笑ってるような気がして、花を見るたび、嬉しくなり、切なくなる。


東京では、昨日、雪が降った。
今日は雨。
しとしと、一日じゅう降り続いてる。


こんな細い雨が降り続く日は、
どうしてか、逝ってしまった大切な人たちを想い出してしまう。
雨が、心に沁みてくる。