好日

信号のない横断歩道を渡ろうとしている時に、車が待ってたら、あたしは立ち止まる。
駅のロータリーなんかでよくそうする。


なにをそんなに急いで、待ってる車を無視して歩くのか、わからない。


一人立ち止まると、ふと車に気付いて、なん人かが立ち止まってくれる。
そうして、かなり長いこと待った車がようやく通り過ぎる。


車だってそんなに急いでるかどうかわからないんだから、別にいいじゃん、とも思うけど、
けど、立ち止まったって、いいじゃんか、と思う。


譲り合い、っていうか、滞ってるものを流れにする、って、
ちっちゃなことでも、あたしはとても素敵なことに思える。


自転車に乗ってて、幹線道路なんかはちょっと恐いので歩道を走るのだけど、
そんなとき、さっとよけて下さった歩行者の方に一礼をしたり、
逆に、細い道で歩いてこられる方が通り過ぎるのを自転車を止めて待ったり。


善行とか、なんかじゃなく、
逆の立場だったら、って思えば、あたりまえのことになる。


そんなふうにすれ違う方々は、ほとんど一期一会の方ばかりだろうけれど、
心配りって、した方も、された方も、清々しくなる。


弱くなってる時は、人って捨てたもんじゃないな、なんて思ったりもする。


きっと、心配りって、
心が瞬間重なるから、暖かい気持ちになれるんじゃないかと思うんだ。