百合色

父の日に、亡き父に買ったカサブランカの、芳醇な香りが部屋いっぱいに広がってる。


手を思いきり広げたよりも大きく花を広げるカサブランカは、
ちょっと恐いくらい大きくて。


あたしはあまり大きな花が好きじゃないのだけれど、
これだけは例外で、よく買う。


香りが、ダントツに好きなのだ。
単なる百合では違う、カサブランカの香りが、溜まらなく好き。


夜の匂いと重なって、香りが闇に、色を染み込ませてる気がする。
黒に色を指すと、えも言われぬ深みが増すのだ。
それこそ、言葉では説明できぬ、感じる黒に、変化する。