Bloody Sunday




武蔵美時代を過ごした小平の雪景色を思い出す曲は、たくさんあって。
この曲も、そのひとつ。
なぜか、無性に聴きたくなって。


この週末も仕事をしてたのだけど、
仕事場近くの商店街のなかにある日本酒専門店に、ひさしぶりに寄ってみた。
なるべく行かないようにしてるのだ。


なぜなら、行くと、親父さんでも、おかみさんでも、いい話をしたあとで、
なん本か値段関係なく買いたくなってしまうから。


けど、無意識に今日はふらりと寄ってた、知らぬうちに。
取引をしてる宮城の酒蔵のご無事な話や、福島の酒蔵の再開不可能な話なんかをして、
人の力ではどうにもできぬ自然の猛威と、不条理な人災の恐怖について想い交わした。


そして、初めて買った「鶴齢」(かくれい)。
東北の酒を呑むと、きっと元気になれる、と、おかみさんの言葉。
新潟だけど、日本は繋がってるからね。


午前二時ごろ車で帰宅して、鶴齢を一献。
雪の、味がした。


そして、心んなかに、この曲が浮かんで来たんだ。
脳裏には、畑一面の銀世界。
講義もそこそこに、雪見酒をしてた武蔵美時代が、ふわぁっと広がった。


想い出ってのは、味なもんだな、と思う。


経験した者にしか得られないもの。
分け与えられないし、それこそ、お金なんかじゃ買うことは不可能だし。


宝物、って思う。


楽しいことも、辛いことも、経験した人にしか得られない、宝物。
そう考えたら、なんだか、ちょっと、楽になった。


いつの時代も、不条理な人、不条理な事件、やるせない流れがあって。
そして、その、人や時代に反発する動きが必ず、カップルのように居て。
螺旋を描きながら、次の時代を作っていってる。


文明開化、と喩えられる明治への流れもそうだ。
平家から源氏、鎌倉幕府も、そう。
年号こそ変わらないけれど、今、この2011年は、後世に残る時代の変革期だ。


祖国愛。
そんな言葉があるかどうか、わからないけれど、そんな愛を、
みんなが、みんなに、 loving you するきっかけの年になるんじゃないかな、って思う。


鶴齢。
旨い。


ひさしぶりに旧友たちと盃を交わしたくなっちゃったな。
生きる速度、もうちょっと落とそうかな。