神田神保町




印刷の入稿で、ひさしぶりに神田神保町に行った。
一週間ほどまえのこと。
忘れられない喫茶店がある神保町。


受験で上京した時、今では少なくなったけど、
神保町には、古本屋さんと並ぶほど、古レコード屋さんがたくさんあって、
あたしが生まれた故郷では決して手に入らないレコードを、
神保町で狂喜乱舞して探しまわった。
欲しかったレコードほとんどを手に入れることができたとき、
ふと目に入ったのが、この珈琲屋、さぼうる。


撮影場所や、作家たちの対談の場としてもよく使われる、
古くて、趣のある、珈琲の味は今イチだけど、素晴らしい珈琲屋。


あたしは、紙モノが好き。
本や雑誌、カード類や葉書、紙に押す判子類、和紙。。。
ちょっと来ないうちに、古レコード屋に変わって、そんな紙モノ屋さんが多くなってた。


和物の葉書屋さんを次から次にまわって、
もちろん、古本屋、古楽譜やなんかもあたり構わずまわり、
まだあるかな、と、さぼうる、に辿り着いた。


初めてきた時と寸分違わぬいでたちで。
この写真ではわからないけれど、
東京ではほとんど見なくなった、赤い公衆電話が入口脇に置いてあった。
これも、初めてきた時と、まったく一緒。
なかの壁もインテリアも、今イチの珈琲の味も、なにも変わってなかった。


変わらないモノが好きだ。
時を経てなお輝く、いぶし銀の味が好きだ。
想いが籠められたモノコトは、残る。


ひと月で、店の並びががらりと変わってしまう東京にも、
まだまだ、こんな場所は、実は、山ほどある。
一週間ほどまえのこの日、神田神保町から、神田須田町へ。
次回、神田須田町の絶品蕎麦屋の一席、打ちます。