満月




磨き抜かれた、銀の鏡。
それが今宵の満月。


 それでいいのよ。


美しい月光菩薩が、その銀の鏡を両の手で抱え、そう囁きながら、頷いてた気がした。


舞い降りる月光。
今宵は、銀の粒。


携帯カメラで撮ったぼけぼけ写真の右下。
写り込んでしまった街灯が、菩薩を迎える蓮の花に見えるのは、あたしだけだろうか。
その蓮を、月光菩薩が眺めてるような、そんな気さえしてくる。


 このまま歩こう。


今宵の満月を仰いで、あたしは、そう感じた。