魔法




目を凝らさなければ、星が瞳に映らないほどだけど、星空。
東京では、これでもかなり、星がよく見える空。


心んなかを言葉で表せないと、もどかしくて、哀しくなる。
時に、話してる相手に、逆の想いを生まれさせたりして、
言葉など掛けなければよかったのに、なんて、珍しく一瞬、後悔したりなんかする。


どんな状況にも、受け止められない想いがあって。
それでも、突き放せない、あたし自身の想いもあって。


ここでは説明できぬ、複雑な時の流れと、
ひとつの言葉から受ける想いの違いに、どうしようもない隔たりを感じつつ、
それでも、掛け替えのない友と、わかり合える道を探り続ける。


どうしようもないことは、この世の中に、たくさんある。
どうにもできないことも、たくさんあふれてる。
けど、あたしは、どうしても、あきらめる、という境地に達せない。


人智の及ばぬことは、身も心も、あたしは任せる。
それ以外のことは、あきらめられないのだ。


友は、そう簡単に得られるものじゃない。
知り合いならば、星の数ほど居る。
だけど、友は、そう滅多に出会えない。


とてつもなく大きな歯車が、はずれたとして。
ひとりでは、とても歯車を元に戻せない、としても。
腕が折れてでも、あたしは元に戻そうとする、ひとりでも。
たとえ、戻らなかったとしても。


こんな夜は、夜空が救ってくれる。


何億光年と言う時間を経て、地球から見上げるあたしの瞳に映る星。


深呼吸して。
時空を飛び越えて、伝わるものがあることを感じて。
もしかしたら、空回りしているのは、あたしの方かもしれない、と、
おっきな瞳で俯瞰するゆとりを得る。


心の深いところで、も一度星を仰いで。
あたし自身に、魔法をかけよう。