草枕




 世の中のニーズに応えるべく。
 新しいモノを追いかけてゆかないと。


同じ業界に身を置く友人からの葉書にあった言葉。
ため息が出て、気分が萎えてしまった。


 そんなもの、なんになるんだ。


って。


生き方にも、好みがあるのかもしれない。


変えてゆきたい、と、勇気を出した時に限って、うまく進まない。
恋愛のことなんかじゃなく。


言葉は、無力だ。


どんなに心を砕いて伝えても、伝わらないことがある。
それが、家族だったり、信頼してる友人だったりすると、堪らない。


ただ、自分とは違う、ということを理解してくれるだけでいいのに。


同意など、求めてないのに。


なぜ、同じ気持ちのモノコトしか理解できないのか。


あたしには、それが、理解できない。


だけど。
あきらめない。


矛盾さえ、乗り越えたい。


視界を遮る電線を消し去って、そのむこう側にある美しい夕日を味わえる心を持ちたい。
おしなべて、心の侭に生きる勇気と覚悟を得たい。