新蕎麦

今週末の入稿で、ひとつ仕事が片付く。
そして、今宵、初稿を二本出して、取材のアポも、ほぼ取り終えて、かなり一段落。
いまは、もう、部屋に居るのだ、嬉しい。。。


なんとなく、今週のお題「秋のおいしいもの」。


秋と掛けまして、おいしいものと説く。
その心は、蕎麦、ソバです。


新蕎麦、と呼ばれるものは季節ごとにあるけれど、
やはり、本番は、秋の新蕎麦。


四時か五時、蕎麦屋の夕方の開店を待って、そそっと入店。
できるだけ店内を見渡せる場所に陣取り、蕎麦味噌と、蕎麦湯割りの焼酎。


二合ほどちびちびとやってると、
蕎麦好きが、やはり開店を待って、ゾロゾロとはいってくる。
一緒に呑むわけではないけれど、なんだか仲間の寄り合いみたいに思える。
そんなのを見るのも、すごい酒のつまみになる。


大勢でやるのももちろん楽しいし、二人でしんみり呑み蕎麦をたぐるもよし。
けど、オツなのは、一人蕎麦屋
蕎麦好きは、けっこう一人で、さらりとやってくる。


次は、鴨葱、カモネギ
興が乗れば、板ワサも。
それを、もう二合ほどの蕎麦湯割りの焼酎で、ちびちびと楽しむ。


そのあたりになると、父や祖父ほどの、蕎麦好き紳士たちが、
いい顔で、大きな笑い声をたてながら、楽しそうに宴が弾み出す。
これが一番あたしが見たい情景。
なんとも、ムードも空気も、いいのだ。


最後に、せいろ。
か、盛り。


ハシで蕎麦をたぐり、適量をつかめたら、おもむろに、そのまま喉へ。
新蕎麦は、つゆなしでも、
おいしいとこは、目を閉じて噛み締めたくなるほど、おいしいから。


新蕎麦の香りと、喉越しを味わったあとは、つゆに山葵を入れて、
好き好きだけれど、あたしは半分くらい蕎麦をつけて、
ずずっ、とものすっごい音を立てて喉に送る。
江戸の蕎麦だもの、音たてなきゃ、旨かない、ってもんよ、と思ってて。
けど、これも好き好きです。


目も、鼻も、口も、喉も、心も満たされつつ、
締めは、そば湯をおつゆに入れて、二杯ほど、戴く。
蕎麦屋のお茶は、呑んだことがない。
蕎麦と蕎麦湯の香りが飛んでしまって、もったいないからだ。


わりといつも、こんな感じで、蕎麦屋を楽しむ。
仕事が片付く十月中旬、どこから攻めようか。


神田松屋虎ノ門砂場、室町薮、目黒さらしな…。
まずは、あたしの都内ビッグ4から、かな。


鼻のまえに吊られた人参のよう、新蕎麦。
頑張ろう。