上野散歩
早朝、上野の森を友達と歩いた。
故郷から遊びにきた古い友達と。
少しまえの涼しい朝に。
お父様を亡くした頃からずっと問題が絶え間なく彼女に降り注いでて、
話を聞いてほしい、という彼女の誘いに応えたのだ。
始発の新幹線を利用してまで上京する。
そんな彼女の行動に、応えないわけにはいかない。
遠足だろうか、多くの園児や児童たちが、列をなして上野駅から公園に向かってた。
彼らのかわいい笑い声を聞きながら、
あたしたちは上野の森を、話しながら、とめどなく歩いた。
話してみたら、彼女は、
どうしたらいいのか、の答えを自分がすでに持ってることをわかってた。
それでいいんだよ。
という言葉を、じかに聞きたかったのだ、と思った。
ひとつひとつ確実に、とにかくやってみる、と、彼女は笑顔で言ってくれた。
彼女自身の心のこと、病気のこと、お母様のこと、家族のこと、仕事のこと。
みんな抱えてるであろう、生きてると産まれてしまう問題と呼ばれるさまざまな事柄が、
濃い状態で、一時期に一挙訪れてしまったのだ。
時間なんていくらかかっても構わない。
彼女が納得できるカタチで、ゆっくり正常化していけばいいな、と思う。
今朝も、涼しい朝。
もうしばらくしたら、涼しい、ではなく、寒い朝、となるんだろうな。
猛烈に暑かった夏の陽射しが、懐かしく想い出されるはず。
東京は、昨日から秋雨。
ひと雨ごとに秋が近づいてる。
長く待たされたせいか、今年の秋は、時折、休憩をとりながら夏に近づく。
夏からバトンを渡されるのは、たぶん、もう、すぐ。