海月




今年のお正月は帰郷を断念した。
あたしっくらいの年齢になると、


 正月だからって、田舎に帰らんでもいいじゃない?


なんて、友達は言うけど。
けど、やっぱし、ね。


 故郷、帰りたいよね、盆と正月っくらいは、さ。


と、あたしは想う。


ちっちゃい頃からずうっと歩いた川沿いのあの道とか、
不格好なお城の見えるあたりの橋のたもととか、
実家のある道の隙間に沈む、でっかい夕日とか、
それに、家族の顔を見たい、な。


さっき、母と電話で話した。
帰郷できん旨は、昨日メイルで事前に、母や家族のみんなに送っておいたから、


 そんな、わけなん。


という電話。


結婚しない娘を案じる言葉も痛いし、仕事ばっかり!って言われるのも辛いし、
こっちの生活よりもがさがさ騒がしい田舎だけど。


そんでも、やっぱり、帰郷すると、じんわりと沁みてくるのだ、なにかが。


時期をずらして帰郷するんだ。
こっちでのこと、仕事も、きっちりこなして、すかっ、とした気分でさ。


帰る場所がある幸せ。


 大げさなくらい大きな声で叫んでもいいんじゃないか、正月くらい。


とか思ったりする。


海月は、なんとなく、今の気分。
いろんな気持ちを籠めて、はぁーーーーふぅーーーー、てな心のイメージ。