Queen

あたしは Queen が大好き。
Freddie Mercury に至っては、愛している、と言っても過言ではない。


Freddie が逝ってしまって、もう18年が経つ。
最初に Queen を知ったのは、小学5年生のとき。
今思い返すと、オンタイムではなかったけど、
ラジオから流れてくる Queen の曲が、もの凄く美しく、強烈に印象に残ったのを、
今でも憶えてる。


お小遣いをかき集めて、近所のレコード屋さんで、早速レコードを買った。
たしかベストだった。
そのとき、Freddie のポスターを貰えて、帰るなり、学習机の正面に貼った。
胸毛が思いきり出てて、確か白いレオタードのような衣装をつけた Freddie だった。


そのひと月ほど後、家庭訪問があって、担任の先生があたしの家を訪れた。
当然、あたしの勉強部屋にも入ってきて、Freddie のポスターを見て、眉をしかめた。


 これは、先生が預かるからね。
 卒業式の日に、返してあげるから、取りに来なさい。


と、先生は、言った。


 なんで、なんの権限があって、先生があたしから Freddie をとりあげるの?


と思ったけど、言えずに、言われる通りにした。


当時、あたしの田舎は、全国で一二を争うほどの教育県で、
髪型はもちろん履く靴やボールペンの数、鉛筆の種類まで細かく決められていたから、
先生の言われる決まりは、守るのが当たり前、だと思っていたのだ。


その約二年後、卒業式の日、早朝に、あたしは喜々として職員室に行った。
もちろん、Freddie のポスターを返してもらうためだ。


 え?なんだっけ。あー、そう言えば、そんなことあったなー。
 ごめんな、先生、あれ、捨てちゃったんだ。


と、先生は、言った。


あたしは、あまりに悲しすぎて、言葉が出なくて、そのままうなだれて職員室を出た。
卒業式には、ピアノの伴奏を頼まれてたので、
みんなと別に、ステージの裾で音楽の先生と一緒にストーブで手を温めてたのだけれど、
彼女が心配してくれるほど、あたしは心からがっかりしてた。


担任の先生に、嘘をつかれたことが、ショックだったし、
なにより、Freddie のポスターが戻ってこないことが悲しくて堪らなかった。


それからもう気が遠くなるほどの年月が流れたけど、今でもなんか忘れられない。


Freddie のポスターは、今も買ってない。
ただ、ポストカードは一枚だけ持ってる。
そっといろんな手紙を入れてる箱に忍ばせて、時々ちら見してる。


なんか、Freddie の姿を人に見せると、消えてなくなりそうで、
ちょっとびびってるのかもしれない(笑。