充満

ほんとに美味しいモノを食べると、無口になる。
美味しいソレを食べるのに夢中で、喋ることを忘れてしまうから。


たぶん、ほんとに好きな人ができると、誰にも話す気にならない。
その人をとても好きで、
自分のなかで、その、好き、が充満し過ぎて、
ソレを誰かに伝えることまで、気がまわらないのだと思う。


ここで困るのは、その、好き、を、
好きな、その人自身に伝えることすら、忘れてしまうことだ。


自分のなかの、好き、が充実し過ぎてて、
伝えることなど、二の次になってしまうから。


年を重ねるごとに、その、自分のなかの充満度は満ち満ちていって、
どうにも、扱い易すぎて、
ほんとの気持ちを見つけることは得意でも、
ほんとに求めてることが捜しにくくなってゆく。


困ったもんだ。
幸せになるための手段は、たぶん若かった頃の方が、知ってたような、気もしたりする。