ローズマリー

もしも、宿命というモノがあるとしたら。


こんがらがった絹糸を、長い年月かけて、ようやく解きほぐせたと思っても、
そして、その時間が、今までに得ぬほどに貴重で美しく感じられたとしても、
それを、モノともせずに、宿命は、人の生きる先に、待っているのだろうか。


暗闇に響くピアノの音のように、
一瞬で人の心に滑り込み、過ぎた瞬間を、過去にしてしまうのだろうか。


宿命の扉を、開いてしまうかもしれない、と思ったこともあった。
そして、今また再び、大きな扉のまえで、あたしはナニカ感じて、想い巡らせてる。


今までと違ってるのは、あたしの手には、鍵が握られてるということ。


ただ、その鍵で、目の前の大きな扉が開くかどうか、それはわからない。
だから、今までと大きくは変わってないかもしれない。


伸ばしてる髪を、昔みたいに、腰まで伸ばしてみようとか、
ずっと言えなかった言葉を伝えてしまおうとか、
きっと、そんな想いも、宿命は、笑い飛ばすんだろうな。


たぶん、あたしの生きる力は、愛からはじまってるんだ。
リチャードバックが言ってるように、人は、愛を求め続けて、生き続けてる。
すべてを愛したいと憶って生きてる。
許せないコトも、許してもらえないだろう自分の罪も、すべてを愛したい。


宿命が降りてくる時は、デジャヴか、原風景なんかと関わりがあるかもと想ってたけど
きっと、そんなことも、吹っ飛ばすんだろうなぁ。


早く会ってみたいもんだ、宿命に。