雪の川

秋休み最終日に仕事に引き戻される、というハプニングがあったけど、
だらだらと、充実した休暇を楽しめた。


大好きな川縁のあの場所。
なんども振り返って、目に焼き付け、再来を近いつつ。


宛てもなく走った先での温泉三昧。
秘境の湯にも遊び、満悦。


米がたわわに実る畑を走り、稲穂を刈り取る農家の方々の姿も拝見できた。
家族で、淡々と作業する様は、日本人の美徳を目の当たりにするようで、
なぜか気恥ずかしく、訳もなく、はにかんでしまう。
素晴らしい情景。


富士山の近くにも行った。
あいにくの天気で、雲が富士山を包み、見たこともないほど険しく、見えた。
五合目から見上げた富士には、雪の川が、幾重も、流れてた。


旅の間も、戻ってからも、呑んでても、話してても、なにしてても、
なぜかあたしは、心のなかのザワザワが取れずにいた。


過去の、消せぬほど印象的な想い出が、次々と心のなかに現れ、憶い出された。


目の前の景色とも、話とも、なんの関係もなく、憶い出されてくるのだ。
奇妙過ぎて、あたし自身気味が悪かったほどに。


そのひとつひとつに、オトシマエをつける時期なのかもしれない、と、少し思った。
ジャッジはあたしの苦手な行為のひとつ。
それを自分自身にするなど、あたしにできるはずもない。


しかしながら、オトシマエとは、別に、
決着、などという大層なことでもないような気もしてた。


憶い起こし、反芻し、こうだったのだ、と、事実を確認する。
そうすると、その時に想えなかった数々の気持ちが、今のあたしから生まれ、
次々と、過去が塗り替えられていった。
無意識に。


好き嫌いも、妙に激しくなってきてる。
自分の仕事に対しても、自分の言動に関しても。
周りの人にしてみれば前例に違うあたしの言動に戸惑い困り果ててるかもしれないが、
たぶん、あたしにとっては、とても素晴らしい変化ではないか、と想ってたりする。


秋休暇で、がらりと変わった訳じゃない。
じりじりと、ちょっとずつ、動いていたナニカに、あたしが気付いたというだけのこと。
だと、思う。


一週間前のあたしとは、ナニカが完全に変わってる。


きっとなにかしらのゴタゴタは、きっとある。
けど、その先に、ナニカ待ってるモノコトがある気がする。
あたし自身でも気付いていない、あたしがほんとうに望むナニカが。


秋休暇で、こんな、とても大切なことが、わかった。