十五夜

北東の空高くに、名月。


空の一部でなく、雲と一緒に描かれる月といったふうでもなく、
ただ、特別な存在として、空高い場所に、いる、のだ。


ただ、あるがままに。
というのが、あたしの理想の生き方。


それを目で見ることができるとしたら、
今日の月のあり方かもしれない。


こんなに美しく凛とした十五夜は、初めてかもしれない。
いや、もしかしたら、
あたしのあり方が変化してるのかも、だけど。


月が、鏡のようだ、と思ったことがある。
まるで今の自分を映す鏡のようだ、と。


今夜の十五夜は、一人の強く美しい人間としての存在のようで、
見上げるあたしに、無著のような、深い眼差しを投げてるよう。


過ぎゆく時間は、かならず機を得て、舞い戻る。
それはきっと、
今あたしが想うよりずっと、素晴らしい時間となって。