波形


Mozart / Sonata KV 521 (part 1/2) by Martha Argerich & Evgeny Kissin / piano 4 hands



Mozart / Sonata KV 521 (part 2/2) by Martha Argerich & Evgeny Kissin / piano 4 hands


Argerich と Kissin によるモーツァルトの豊満な音の競演。
音の粒が、豊かに満ちてゆく素晴らしい演奏。





葛飾北斎という人は、江戸の絵師で、
 絵は、その一枚で完結してなくちゃいけねぇ。
と思ってた人だったらしい。


百日紅という作品のなかで、こんな話がある。


北斎の娘の絵師が描いた地獄絵図に昼夜悩まされて臥せってしまった庄屋の奥方がいて、
困った版元(浮世絵を売る人)に促されて北斎が出向いてった。
 これじゃあ救いがねぇ。さ、こうすりゃ、万事うまくいく。
てなことを言ってさっと描いたのが、地獄の血の川の脇に立つ観音さま。


このシーンがあたしは一番好き。


人生を語れるほどあたしは悟ってもいないヒヨッ子だけど、
なにごとにも、なにものにも絶対に救いはあって。
良く晴れた日の木漏れ陽みたいに、
曇ったり、ちらちらと太陽が覗いたり、時には突然の嵐に見舞われたりするけれど、
いつしか空の雲が消えて、暖かな光が差し込んでくる。


波のような起伏を繰り返しながらも、
その起伏があることをちゃんと知っていれば、乗り越えられると思うのだ。


素晴らしい絵や彫刻には、
そのたった一枚、たった一体で、人生を感じさせる力がある。
そして、素晴らしい音楽には、その美しい波が刻まれてる。


人が生きてく道のあちらこちらに、奇跡という粒が舞ってる。


素晴らしいナニカに出会えると、そんな大切なコトを想い出せる。