洞窟


Janis Joplin / Mercedes Benz


なにか写真をUPしようかな、と、
最近もっぱら写真機になってるXperiaを覗いたら。


去年の春から撮りためた愛しい写真達が、
今宵は、あたしの吐息のように想えて、そっとしておくことにした。
眺めてたら、なぜか、ジャニスのこの曲が聴こえて、UP。





ずうっとまえ、家具職人の旧友が言ってた言葉を思い出した。


 昔から憧れて、目標にしてた作家がさ、
 とんでもない作品を出してね。
 もう、悲しいとか、悔しいとか、を通り越して、瞬間に憎んでた。
 そんな自分が、すごい可哀想に思えた。


不意に思い出したので、それで、なにかを言いたい訳でもないのだけれど。


そういうことは、ままある。


自分にも、とんでもないことを考えたりしたりすることはある、から、
好きな作家を、神にしてはいけないんじゃないかな、と、またこれも、今、不意に思った。





今朝、早朝。
昔からずっとあたしの髪を切ってくれるヘアメイクが本業の友人が部屋に来てくれて、
ひさしぶりに髪を切ってもらった。


彼女もあたしも、ばたばたと忙しくしてるので、予定を合わせると、
尋常ではない時間に、いつもなってしまう。


中国、アメリカ、世界情勢、音楽、天、魂、海、山、大地、業界の噂、本、写真、科学…
会えば限りなく話し尽くすので、
扉を開けて迎えるとすぐに、お互い、終わりの時間をはっきりと決める。


いつも時間終わりギリギリにカットをしてもらうことになるのだけれど、
それも、また、理由はわからないけど、なんだか楽しい。


今日も、片手の拳で握れるほどの、ほんのちょっとしか切っていないのに、
絶妙なバランス感が施されたあたしの髪は、蘇生された生き物のようになった。


プロフェッショナルとは、こういうものだ、と、彼女の仕事ぶりを体感するたび、思う。


当の彼女は、あたしの賛辞を笑い飛ばし、そのままお返しするわ、と笑う。
そうして、大きく手を振って、また!と帰ってゆくのだ。





今宵は、幹線道路を流れる車の音が、なぜかとても大きく聴こえる。


TINTOを呑みながら、REXのファーストシーズンを見るともなしに流してる。


REXとは、オーストリアの刑事犬&刑事のドラマで、字幕の入ったドイツ語仕様。
1〜3のトビアスモレッティがREXと組むファーストシーズンがお気に入り。


亡き父が堪能だったドイツ語。
ちょっと懐かしさも手伝って、心暖まるファーストREXが、大好きなのだ。


流してる音が、今宵はとてもよく聴こえる。
いつもは14くらいの音で聴くのに、きょうは半分の7で充分。


感性が研ぎすまされて音がよく入ってきてるのか、
たまたま頭がクリアなのか、よくわからないけど、なんだか気持ちがいい。





あ、そうだ、と思って、*マークを打ったけど、
車が流れる音を聴くともなしに聴いてたら、なんだか忘れてしまった。


画面のREXは、誘拐された男の子達を助けてる。


グラスを空けたら、そろそろ眠ろう。
今日も、気持ちの良い日にしよう。