彼岸

もうすぐ春のお彼岸。


彼岸、という言葉は、小学校の修学旅行で、平等院に行った時、初めて聞いた。
此岸と彼岸。
こっち側と、あっち側。
生の世界と、死後の世界。
その世界を、平等院は表現してる、のだと、社会の先生が説明してくれた。


なんか、無性に、繋がってる気がする。
生と死は。
あたしは無宗教だけど、なんか、ぐるぐる巡ってる気がする。


ふと亡父の気配を感じて勇気をもらったり、
夢なのか幻なのか、逝ってしまった友人と会って話したり、呑んだり、歩いたり。
人の脳があまりにも無限大なのか、どうか、わからないけど。
明らかに、目で見える世界だけじゃ説明できない経験をすると、
次元が違うだけで、居なくなったりしないのだ、なんて、思ってしまう。


お彼岸の日には、
満月の時と同じように、ちっちゃい頃からまんまるのものを食べる習慣。


小学生の頃までは、
近所のお米屋さんから、ちっちゃく丸めたお月見まんじゅうを配ってもらえた。
むっちゃ美味しい、ただの餅に、お砂糖をちょっとつけて食べた。
中学に上がった頃、お米屋さんは店を閉じて、
ばあちゃんがこしらえてくれる、おはぎが、満月やお彼岸のデザートになった。


今でも、満月ん時と、お彼岸は、まんまるの日。
忙しい時はコンビニの大福。
ゆとりがあれば、日本橋、浅草、御徒町へ。


彼岸と盃を交わす日。
あたしは、まんまるのものを食べる。