眺望

願いを、蓮の花に包むように、掌で受け止められたら、どんなにいいだろう。
じいっと、願いを見詰めて、抱きしめて、キスができる。


彩り鮮やかな、幾つもの想いが、まるで広い野原の花々のように、
見渡す限りの原っぱの、あちらこちらに咲きはじめる。


ここに咲く花を見詰めていると、むこうに咲く花を忘れてしまう。
少し高いところから見渡せば、彩りが美しくて、花の形がわからない。


モネの絵のように、すべての花が存在して初めてひとつの想いが現れてくるのか。
いや、それでも、願いを籠める花はあるはずだ。


なぜ願いを抱きしめられないのか。
雨を含んだ土の匂いが、魂を揺さぶる。


考えても答えなどわからないよ。
感じろ。
魂の底から震える想いを、ただ感じなさい、と。