深淵




小さい方の窓の外に置いてるミニ薔薇。
薄桃色のきれいな花を、今年は咲かせてくれた。


懐かしい匂いのするなにか、は、依然としてあたしの中にある。
具体的に自分の心んなかでも説明できない、不思議な感覚。


土をいぢってると、その感覚が磨かれていくような、気がする。
葉や花の剪定をすると、つい確信が顔を出してしまいそうな、気がする。


そう感じるたび、
なにものかわからない、懐かしい匂いのする、
その不思議な感覚の答えを知るのを、
あたしは怖がってるかもしれないな、と思ったりする。


土の匂いは、水を含むと、さらに強く香り、
命が生まれる前の匂いを思わせる。