金魚の風鈴

あたしの部屋のカーテンレールの端っこには、
一年じゅう、赤い金魚の風鈴が吊るしてある。
鐘の部分が銅の風鈴なので、チリーンと鳴る時は、響き渡る。


いつもは柱の部分で風が遮られて、あまり鳴ることはないのだけれど、
今朝、洗濯物を取り入れる時に、ちょっとずらしたのか、チリーン、と鳴った。


雲が広がるヒンヤリした秋の朝の、風鈴の音は、実にもの悲しい。
冷たい水に、いきなり金魚を入れてしまったような、はっとする、あんな感じがした。


けど、はずさずに。
今も、窓の外を眺めるような格好で、カーテンレールの端っこに、金魚と鐘が居る。