今年最後の満月が、空に居た。 どこを捜してもみつからない希少な、誰も見たことのない、鏡のような月だった。 椿の花を絞った油で磨き抜かれた、古(いにしえ)の鏡のごとくな。 由り選られた、髪のように細い絹糸で織った雲が、その古の鏡を撫でていた。 …
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